参考:https://ssv.network/blog/technology/dvt-essentials-diversity/(2022年11月21日)
ssv.networkのDVTを通してEthereumの分散化を強化が期待され、バリデータの多様性も向上させます。本記事では、DVTを通して実現するEthereumネットワークの更なる分散性について詳しく紹介します。なお、本稿ではssv.networkと分散型バリデータ技術(DVT; Distributed validator technology)をEthereumノード運用に関する多様性の観点から解説することを意図しており、バリデータ秘密鍵の分散所有に関しては別の媒体を通して解説いたします。
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この投稿は、分散型バリデータ技術(DVT; Distributed validator technology)の広範な影響について教育することを目的とした「DVT エッセンシャルズ」シリーズの初回投稿です。DVTはEthereumの基礎レイヤーを多様化するのに役立ち、Ethereumバリデータに対して現在多くの人々が認識している以上の価値を提供するソリューションを提案します。多様化は多くのブロックチェーンプロダクトに共通して求められるものですが、Ethereumに関してはさらに重要です。本投稿では、DVT、特にssv.networkのDVT実装がどのようにしてEthereumバリデータの多様性を向上させるかについて説明します。
では、多様性とは何を意味するのでしょうか?Ethereumブロックチェーンの文脈では、クライアント、サーバ、ステーキングプロバイダの広範な選択肢を持つことを意味します。これにより、エコシステムは特定の技術、管轄区域、またはエンティティに依存する必要がなくなります。本質的に、より多様性を持つことはEthereumを分散化し、より耐性のあるものにする方法の一つです。
DVTを使用しないEthereumバリデータが直面する主な課題は、通常単一のエンティティによって運用されることです。単一のクライアントを特定の場所(クラウドベースまたはハードウェア)で使用する単一のバリデータは、単一障害点を生み出します。十分な多様性がないと、ネットワークの各レイヤーが少数のサービスプロバイダに依存する可能性があります。
現在のEthereumのノード運用に関わるクライアントは十分に多様化されているとは言えない。 出典:clientdiversity.org ‘Client Distribution’
クライアントの多様性とは、Ethereumバリデータノードを作成する際に選択可能な複数の実行クライアントおよびコンセンサスクライアントを持つ機会が提供されていることを意味します。実行クライアントはトランザクションを確認・実行し、最新の状態を維持し、すべてのEthereumデータを記録します。一方、コンセンサスクライアントは、実行クライアントからの検証済みデータを使用してPoSアルゴリズムを介してコンセンサスを提供します。この二つのクライアントが連携してEthereumネットワークの状態を同期させます。
クライアントの多様性は、Ethereumのレジリエンスとライブネスにとって不可欠な要素です。Ethereum Foundationは、コンセンサスおよび実行クライアントの両方が多様化される必要があり、これによりチェーン全体の不具合を防ぐことができると多様性の重要さを強調しています。DVTを使用しないバリデータは単一のコンセンサスおよび実行クライアントに依存しており、ソフトウェアに何か問題が発生すると、バリデータの業務遂行に支障をきたし、スラッシングを引き起こす可能性があります。更に、バリデータの2/3が同じクライアントを使用している場合、そのクライアントを使用しているバリデータにとってチェーンを中断させるリスクや金銭的損失のリスクが発生する可能性が高いです。
DVTはこうした致命的なリスクを大きく低下させるために大きな役割を果たします。SSVnetworkの分散バリデータインフラストラクチャは、バリデータキーを複数の「キーシェア」と呼ばれる断片に分割し、それらをネットワーク内の複数の第三者ノード(オペレータ)に分配することで、ステーキングバリデータがクライアントの多様性を向上させる新しい方法を提供します。
出典:ssv.network
DVTを用いずにノードを運用する場合、バリデータのプライベートキーはシェアされず、その結果ノード運用に関わるリスクは分散されません。多くのノードがこの手法で運用されていますが、その結果スラッシング被害などの重大なペナルティが発生するリスクが内包されたままとなっています。
出典:ssv.netowrk
ssv.networkの各オペレータは、連携するバリデータクライアントのソフトウェアとインフラストラクチャを選択でき、ステーカーはバリデータを運用する独立したオペレータ群を選択します。ssv.networkを介してバリデータを運用するには、ステーカーに代わって業務を遂行するために最低4つのオペレータ群が必要です。これにより、各バリデータが4つの異なるコンセンサスと実行クライアントを同時に運用できる機会が生まれます。これにより、バリデータクライアントの単一障害点が排除され、Ethereumブロックチェーンの全体的な健全性が向上します。
現状、バリデータの多くは欧米諸国と一部のアジア地域に分散している。 出典:etherenodes.org ‘Ethereum validator geo-location distribution’